Aspiration

代表挨拶

急速に成長するアフリカ大陸

 先進国の人々にとって、支援をする対象だったアジアやアフリカの国々は、過去20年間で大きく変貌を遂げました。もはや先進国と途上国という概念は時代遅れのものになりつつあり、2016年には世界銀行が “開発途上国”という名称を主要なデータベースから削除するに至っています。

 日本では、どうしても物理的な距離の近いアジアの目覚ましい成長が注目されていますが、アフリカもまたそれに劣らぬスピードで成長しています。例えば、東アフリカの国々は過去5年間、年平均6%(1)を超える高い経済成長率を維持してきました。さらに今、保健・衛生レベルの向上による人口の急速な増加の結果、国の将来を担う若い世代が一気に社会に飛び立とうとしています。

 しかし、アフリカの国々は世界で最も若い国々です。中国を含むグローバル競争の激化や、未だ国内に影を落とす、低い教育水準や行政の腐敗といった課題に直面しています。「貧困と紛争」というイメージだったアフリカは、これから大きく飛躍する可能性を持ちながらも、まさに今、分水嶺に立たされています。

支援では実現できない、アフリカ企業の成長

 私はAfri-incを創業するまで、開発途上国を支援する仕事に就き、ガーナの農村、ウガンダ北部の復興地域、ケニアのスラム等、「貧しい」とされる地域を歩いてきました。日本でよく想像されるアフリカに近いかもしれません。「娘の学校の制服が買えない」といった悩みがありながらも、日々を明るく暮らそうとする人たちを見て、「この人たちの力になりたい!しかし何かを彼らに与えることがその方法ではない。ではどうすべきか 。」と思いを巡らせていました。

 学校や道路など、社会の基盤を作ることはこれらの国々にとって非常に大切なことです。それはわかります。しかし、多くのプロジェクトを進める中で、外国の支援で作られた高等教育施設の卒業生が、そこで得た知識や技能と殆ど関係のない仕事に就職していく姿を、私は目の当たりにしてきました。そんな経験から、社会の基盤を作ることも必要不可欠だが、それよりももっと大切なのは、「それをどう使うか」だと感じるに至りました。つまり、人々の自己実現をサポートし、国の経済発展をリードする、そのための「企業」作りこそが、これらの国々にとって本当に大切なのではないか、と感じるようになりました。

アフリカで巻き起こるグローバル競争と日本

 翻って日本を見ると、日本企業は高度成長期に世界中で顧客を広げたものの、80年代・90年代は、商圏の縮小が目立ちました。実際、アフリカの国々で、打ち捨てられた日本企業の看板を見たこともありますし、とある日本の有名ブランドが、ナイロビで、「父親世代の古いブランド」と若者に言われているのを耳にしたこともありました。

 中国・インド企業など、グローバル競争でのプレイヤーが増えた現在、アフリカにおいても、再び日本の旗を立てることは容易ではありません。それでも、私はこれまで、アフリカをはじめとする新興国で事業経験を積みたいと望む日本の若者たちに数多く出会ってきました。しかし、彼らが事業経験を積みたいと望んだとしても、アジアと比べてアフリカにおいては、その機会は非常に限定されていて非常にもったいないと感じました。

 

 そうした経験から得た「アフリカの経済発展をリードする企業の成長をサポートしたい」「日本企業や、日本の若者が再び新興国に旗を立てる機会を作りたい」という、このふたつの思いを実現するために、私は2015年にウガンダで起業し、現在、ケニア・ウガンダの二カ国で事業を行っています。

目の前の課題は、アフリカの流通

 今、我々のフォーカスは、流通にあります。日本は、江戸時代から400年以上、流通網とそれを担う企業が発達し、現在では世界でも有数の流通大国です。対照的に、ここアフリカでは流通ネットワークが未成熟で、企業が積極的に商品を売り、そして消費者が安価で欲しいモノを買うことの障害となっています。アフリカの企業は、信頼できる取引先が見つからない、見つかったとしても、そこに確実に商品を提供し続ける手段がない、といった課題の解決に多大な努力を払わざるを得ません。また消費者は、品切れで欲しいときに商品が手に入らない、適正な価格で手に入らない、という悩みを常に抱えています。

 我々は、この流通の問題に取り組むために、売り手-買い手の情報の非対称性を減らして流通を見える化し、アフリカを「開けたマーケット」にすることを目指すモバイルプラットフォームを現在提供しています。良い企業が良い商品を作ることに専念でき、人々がそれを安心して享受することが出来る、そんな仕組みをアフリカ50カ国に普及させる。そしてその流通プラットフォームの上に、ファイナンスやマーケット情報提供などの機能を加えていく。こういった活動を、アフリカの開けた未来を創るため、「流通大国」日本のノウハウを生かせるパートナー・仲間とともに行っていきたいと考えています。

2017年2月

代表取締役社長 永井 健太郎

1 IMF (2016) ‘Regional Economic Outlook Sub-Saharan Africa: Time for a Policy Reset’ https://www.imf.org/external/pubs/ft/reo/2016/afr/eng/pdf/sreo0416.pdf
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